
2008-05-06 Tue 22:39
![]() 本棚を整理してたら2002年36・37合併号の週刊少年サンデーが出てきた。 雑誌は買って読んだらたいてい会社に置いて処分するんですがなぜか1冊だけとってあるんです。なぜかといえば、、 ![]() 衝撃的幻想カラー!!藤田和日郎「からくりサーカス」 そう、物語の大きな節目として迎えたアノシーンが収録されている号なのです。 久しぶりに読み返してみて当時の衝撃がよみがえってくるそのカラーの手法に震えました。そんな雑誌におけるカラーの意味って?そんなことを考えた今日この頃。 ※記事中には「からくりサーカス」のネタバレが含まれます。
物語は「柔らかい石」をめぐっていよいよ確信に迫るというまさに節目となる回。
人間と一緒に生活することにより人間の儚さ、愛おしさ、強さを知り子どもを産みたいとまで思うようになったオートマータのリーダーの「フランシーヌ」、しかし自分のいうことを聞かないオートマータの襲撃にアンジェリーナ、正二らからエレオノールを託されその魔手から逃れようとただひたすら走る。 数々の攻撃を受け、ぼろぼろになりながらも前に進むとそこには井戸が!とっさのことに体勢を保てず落下してしまう。 井戸の冷たい水にさらされた赤ん坊のエレオノールは弱ってしまい、それに反応したエレオノールの体内の柔らかい石。すべてを溶かすという「生命の水(アクアウィタエ)」となった井戸の水、フランシーヌは自分の体を溶かされながらもエレオノールの安全のみを願い フランシーヌ「かわいそうに、ごめんね、、私が落ちたばっかりに、、、こわかったろうね、痛かったろうね、泣かないで、、、どうしよう、、どうしたら、、あ、、」 そして歌い始める子守唄、泣きじゃくっていたエレオノールが落ち着き、さらに正二がやっていた子どもをあやす方法を思い出すフランシーヌ ![]() フランシーヌ「べろべろ、ばぁ」 落ち着いた表情から笑顔へ変化する3コマ→そしてカラーでエレオノールの笑顔!! あまりの出来事に(人を笑わせることができた)もう一度、、 ![]() フランシーヌ「べろべろ、ばぁ^^」 。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン まさに号泣。漫画でここまで泣いたのはこれがはじめてだったと思う。この前のシーンで「赤ちゃん、、赤ちゃん、、なんていい響きだろう、、。」っていうところからもう涙目になってたけど、笑うことができない人形だったフランシーヌがまさに人間になれた瞬間、この笑顔、そしてアクアウイタエの中から見える星空、、話の最後にこういう演出の為にカラーをもってくる手法にあまりにも感動してこうやって保存してあるわけです。(アクアウイタエの色も薔薇色なのがはっきり見て取れるのも新鮮だった) 最初表紙を見たとき「あれ?カラーってどこで使うの?」って疑問に思ったけど、こういうふうに演出のひとつとしてカラーを使う漫画家さんはあまりいませんよね。 実際この前にも砂漠の最終決戦にてルシールの最期もこの手法を使ってました。 ![]() ![]() 憎き我が子の仇「ドットーレ」を相打ちにてしとめたときのこの鮮烈なまでの血の描写も素晴らしかった。最期のカットは同じく上を見上げてるあたり、その描かれている人物の視点に入りこめてより深く感情移入できますね。 他にもこういった雑誌連載においてカラーを「巻頭カラー」や「センターカラー」以外に演出の手法として用いている漫画は自分の知っている限りでは新谷かおる先生の「エリア88」がすぐに思いつきます。 「エリア88」における演出としてのカラーはなんと最終回!しかも雑誌の掲載順をあえて最後にして最後の見開きをカラーというものでした。 (ちなみにこの最終回の最後のページをカラーにしてスタッフロールをいれるという手法は高橋留美子先生が「うる星やつら」の最終回でやろうとしていたらしく「先を越された!」と言ったとか) はて漫画雑誌におけるカラーって? いわゆる新連載などはたいてい巻頭カラーを飾りますが、それ以外のカラーはただ単に人気があるからカラーページを使うのでしょうか?前述したような演出としてのカラーはおそらく作者本人の意向によるものだと思うのですが、巻頭カラーやセンターカラーってのは雑誌編集が作者に割り振ってるものなんでしょうか? 白黒の漫画においてカラーってのはある意味世界観を理解する情報源のひとつだと思います。瞳の色、髪の色、肌の色、それらを一瞬で理解するのにカラーってのは大事。新連載のときはたいてい巻頭カラーだからいいのですが、新しいキャラ、世界が出てきても人気が芳しくなくカラーをもらえなくなった漫画家さんはやっぱりつらいのだろうか。(自分の好きな漫画がなかなかカラーにならないのもちょっと残念な気がするし) たいていは編集の意向でカラーページの割り当てみたいなのは決められるんでしょうが、演出のひとつとして盛り込むことによって、読者へのインパクト、メッセージを伝えられるならこういった表現は大いにアリだと思います。でもそう頻繁につかわれないのはやっぱり製本上のコストアップになるからでしょうね、、w(たしか藤田先生じゃなかったと思うけど、雑誌の途中にカラーページを入れるととたんに製本コストがあがるとかなんかのインタビューで見たような) だから「からくりサーカス」の単行本は残念ながら演出として使われたカラーページはモノクロで収録されてて絶望しましたw(よってこの連載当時の本誌を取っておいたりしてるわけで) エリア88のワイド版にはカラーページは全部復刻収録されたみたい。だからこそ「からくりサーカス」ワイド版でたらカラーページ収録を望みます。 でも乱発しちゃうとそれはそれで予定調和っぽくなっちゃうからダメだろうな。物語を通して数回、「からくりサーカス」じゃ2回(だったと思う)だからこそ、読者に対して屈指の名シーンとして語り継がれるのでしょうな。 なんだかまとまりの無い記事になってきましたが、、 ・他にもこんなカラーの使い方をした漫画あるよ! ・カラーの意味ってこうじゃない? ・アノ漫画のアノシーンをカラーにしたら面白そう! ってのがあれば教えてください\(^O^)/ 個人的に漫画版ARIAはカラーにすべきシーン(見開き)があったと思います^^ あとは「うしおととら」の鏢(ヒョウ)の最期とかもあったら感動3倍増しだな。 >>関連リンク ◇海外アニメファンの疑問「漫画ってカラーにならないの?」(記事元:お茶妖精様) ◇海外アニメファンの疑問「漫画ってカラーにならないの?」トラックバック記事(記事元:日本視覚文化研究会様) ~取り上げてくださったサイト様~ ふぇいばりっとでいず様、ゴルゴ31様、痕跡症候群様、カトゆー家断絶様、読みゲー様、カナ速様、朝目新聞様 ありがとうございましたm(_ _)m ![]() ランキングに参加してます~。フランシーヌのべろべろばぁは反則すぎだろ!ってオモタ方はモルスァとクリックをお願いします~^^ FC2 Blog Ranking ![]() にほんブログ村 アニメブログ
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ええと、記憶がちとおぼろげなのですが、印象に残っているカラーページというと「修羅の門」の幕末編(正確なタイトル忘れました・・・新撰組がでてくるやつです)ですね。
例によって、陸奥の先祖と沖田総司が対決するわけですが、陸奥との対決のあとに沖田が血を吐くシーン。ここだけ1ページだけがカラーになっていて血の赤さとか、作者が非業の天才剣士にこめた思いとかがとても強く伝わってきたのをおもいだします。 余談ですが、このカラーページは単行本になった時にもちゃんと再現されていて、コミックスの真ん中に1ページだけカラー挟むなんてすげー、とおもったものです。
2008-05-08 Thu 12:57 | URL | nisikaze #-[ 内容変更]
>nisikazeさん
コメントありがとうございます\(^O^)/ やはり白黒で表現し得ない色ってのは「赤」なんですかね~?「血の色の赤」はカラーでやるのと白黒でやるのとではインパクト、印象全く違いますしね。 青とか緑ってなんとなくトーンとかで処理して表現できてる感じなんですが、赤ってカラーで再現されないとなかなかイメージできないですもんね。 細かいつっこみですけど『修羅の門』ではなくて『修羅の刻』ですね。
幕末編の3巻での沖田と陸奥出海(いずみ)の戦い途中でのカラーによる血の赤さは確かに印象に残りましたね~ 余談になっちゃいますが、
映画では「天国と地獄」、「オズの魔法使い」(1939)が カラーを効果的に使用しています。
2008-05-09 Fri 07:32 | URL | 松任谷 #-[ 内容変更]
>恭介さん
補足ありがとうございます\(^O^)/ コメレス遅れてすいません(ノ∀`) 作者さんとしてもやはりそこはそういった表現をしたかったのでしょうね。途中のページも探してみると結構ありました。 「ひぐらし~」の「嘘だ!」のシーンとか、仮面ライダーSPIRITSの変身シーンとか。 >松任谷さん
コメレス遅れてすいません(ノ∀`) へ~!映画でもそういった表現が使われているんですね。しかも70年前とかっ!!白黒の世界に色がつく演出は映像だとさらに鮮烈でしょうね~^^ [初めまして]
初めまして。文矢と申します。
記事に感動させてもらいましたので、書き込みをさせていただきます。 からくりサーカスのルシールは単行本でしか見ていませんが、漫画界屈指の名シーンだと思います。 ジャンプだとよくオールカラーの回の時はコミックスでもカラーで収録されています。 又、金田一少年でもトリックの解説にカラーを入れていました。 探せば結構ありますが、演出として入れるのは上手いと思います。 演出でカラー、それも最終回のラスト見開き・・・と言えば、同じくサンデーの「かってに改蔵」が印象的でした。
連載の途中で、新連載がカラーじゃなかったとかこだわってたのも伏線として昇華・・・ってのは褒めすぎですかね。
2008-05-12 Mon 22:57 | URL | 小徹 #-[ 内容変更]
>文矢さん
コメントありがとうございます\(^O^)/ ルシールの数百年に渡るドットーレとの因縁をあのような相打ちという形で終わらせたにもかかわらず、その表情が非常に穏やかだったのが印象的でした。 しろがねの、とりわけ冷酷なルシールの血が赤いという事実が「人間」を感じさせてオートマータたちとの対比がくっきりしてるようにも思いました。 金田一でそういえばありましたねーw でも謎解き解説は毎回やってるからカラーでやられてもそこまで印象に残らなかったのかもしれません^^; >小徹 さん
コメントありがとうございます\(^O^)/ あー「かってに改蔵」はたしかそうでしたね!新連載がカラーじゃなかったのはおっしゃるとおりまさしく伏線だったのでしょうね!さすが久米田先生! サンデー、、というか小学館系は割りと作者の意向にそってカラーを使えるのかな? はじめまして
私的に、一番胸が熱くなったカラーページの使い方、はコメントにもありましたが『仮面ライダーSPIRITS』ですね。 生で昭和ライダーを観た事がない私がこんなにも胸熱くなれたということは、生で観た事のある人の衝撃は計り知れなかったんじゃないかと思います
2008-05-14 Wed 10:49 | URL | イッカイ #-[ 内容変更]
>イッカイさん
コメントありがとうございます\(^O^)/ 自分もリアルタイムで仮面ライダーを見たわけではないのですが、「仮面ライダーSPIRITS」はカラーでの変身シーンといい、主題歌が流れ始めるところといい読んでいるうちにたぎってきますよね~^^ カラーならではのあの変身シーンのカラフルさ加減が昭和チックで素敵。 はじめてカラーで「べろべろばぁ」を見させていただきました。
島本和彦先生が「マンガチックにいこう!」というラジオ番組でいってた話で少し前の事なのでうろ覚えなのですが フランシーヌ人形の例のシーンは印刷の関係でカラーの原稿(べろべろばぁのところ)から先に書かなくてはいけなかったらしいです。 それで残りを書いてるうちにフランシーヌの顔が戦闘で崩れていった方がいい展開になったかなぁ・・・とか考えたそうなんですが女性の顔は崩さないほうがいいという誰だったかの助言で没になったそうです ニコニコにそのときの回が上がっていたので一回聞いてみてはいかがでしょうか?
2008-05-17 Sat 01:49 | URL | K #p7cI3Qk.[ 内容変更]
>Kさん
コメント、ならびに情報ありがとうございます\(^O^)/ ほほう、そういったラジオ番組があるのですか!今度検索かけて聴いてみますね! |
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