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漫画だからこそ出来た憎しみと心の崩壊の表現 『ミスミソウ』(押切蓮介) 2巻
[押切蓮介] ミスミソウ 2巻

「せき止められない憎しみに、少女の心は崩壊する。」

押切蓮介先生初の本格精神破壊(メンチサイド)ホラー『ミスミソウ』2巻が先日発売になりました。

久しぶりに漫画を読んで震えた人間の感情を漫画という表現手段でここまで激しく、醜く、そして悲しく描いた『ミスミソウ』はある意味本物のドラマ(演技)すら越えたと思った。

読むのには覚悟すら必要と思ってしまったその内容は、、
■惨劇のはじまり

廃校が決まっている田舎の中学に転校してきた春花。最後の卒業生となるクラスで待っていたのは鬱屈した環境の中、静かに狂い始めたクラスメイトによる凄惨ないじめだった。
いじめはエスカレートし、行き着いた先は「家族をクラスメイトに焼き殺される」という惨劇だった。かろうじて生き残ったのは妹のしょーちゃんだけだった。
ミスミソウ2巻 レビュ12
もうこの見開きだけで当時は泣きそうになった。それまでいじめられながらもなんとか耐えて平穏な暮らしの希望・象徴ともいえるしょーちゃんのこの姿に絶句しました。

ミスミソウ2巻 レビュ00
この日に流した涙を境に春花は「悲しみ」という感情が「憎しみ」と変わっていき言葉を失ってしまいます。

家族を焼き殺した後も何食わぬ顔で春花を攻め続けるクラスメイトたち。
ミスミソウ2巻 レビュ01
鬱屈した閉鎖的な田舎で育ち、それぞれの家庭環境がそうさせてしまったのか、人間としての感情も希薄になって病んでいるクラスメイト。

ミスミソウ2巻 レビュ02
そんなクラスメイトたちと接し、心の均衡を保つためにはただひたすら「憎む」のみ。この目の表現なんかはありきたりかもしれないけど、決して実際の人間では表現し得ない漫画ならではのものですよね。

ミスミソウ2巻 レビュ03
クラスメイトたちはこの春花の様子の変化に慌て始め、自分達が家を焼き払ったことを知られていると思い、春花に自殺するように促す。灯油を春花にかけ、春花の母親が死ぬ姿を丁寧に説明し、まさに火をつけようとした時、、、(1巻はここまで)

■そして心は崩壊する
ミスミソウ2巻 レビュ04
せき止められない憎しみという器からあふれ出し、壊れ、本能(衝動)だけで動いているというまさにこちらの心まで深くえぐる描写

大切なものを失った人間を憎しみという感情が心を壊していく過程があまりにもリアルで決してドラマや演技で表現できるものではないと思うと同時に、これは漫画だからこそできる、漫画家の魂による表現だと思った。おそらく押切先生はこの漫画、表現には相当な感情を入れ込んで、まさに魂を入魂するかのように描いていると思えてならない。それほどまでにこの漫画には自分の胸を打ち抜くような衝撃と力があった。

ミスミソウ2巻 レビュ05ミスミソウ2巻 レビュ07
憎しみという感情が心を壊してしまったことにより、もはや目の光すらなく、目の前にいる憎しみの対象だったものを肉の塊にするのみただの殺人機械(キリングマシーン)となった春花。

ミスミソウ2巻 レビュ06
ミスミソウ2巻 レビュ11
ミスミソウ2巻 レビュ08

そしてそれとは対照的に死にたくないという感情をさらけ出してしまうクラスメイトたち。何いってるのこいつら?と思うけど、その感情の叫びはあまりにもリアルで春花が復讐を達成していくということに爽快感などない

ミスミソウ2巻 レビュ09
徐々に追い詰められていく人間の恐怖という感情の表現も鬼気迫るものが。

憎しみを断ち切るために、ひとりひとり着実にクラスメイトを消していく春花。

そんな時に春花がこの村で唯一気が許せるクラスメイト「相場晄(みつる)」と久しぶりの会話は
ミスミソウ2巻 レビュ10

晄「寒さを感じるってことは野咲はまだ生きてるってことだ。」

憎しみという感情で何も見えなく、感じなくなった春花を引き戻すこのセリフには相当な重みがありますね。

晄「今が苦しい状況でも、先が、未来が苦しい状況とは限らないだろ?そのときまで耐えなきゃ・・・・野咲は今こうして生きているんだから。安心しろ野咲、俺も野咲と一緒に耐える。」

この降りしきる雪の中での会話は作品中屈指の名シーンであり美しくもありながら、「そのとき」まで耐え切れなかった春花の残酷な運命との対比が強烈すぎてめまいがしましたよ。

あまりの出来事にショックを受け言葉を失うということがあるといいますが、この漫画においても春花は家族の死以降、言葉を一言も発しません。「心の崩壊」を言葉を使わず、表情や行動で表現できてしまうのも漫画だからこそでしょうな。

そして花言葉「はにかみや」をもつミスミソウを踏みにじり、別れゆく春花を待つ未来は、、、最後にこの巻初めてした言葉「ありがとう、、」が意味するものは、、、

というところで糸売




いやぁ漫画って本当に凄いものだと久々に実感しました。

押切先生の絵はかなり個性的でいわゆる「下手系」(といったら失礼かもしれないけど)なので、以前はスルーしてたのですが、美麗な絵を描かれる漫画家さんには表現し得ない漫画力・表現力を持っていて漫画という可能性の大きさを改めて知りました。

人間には決して演じることが出来ない、漫画だからこそ表現できうる感情や描写というものがあるということを気づかせてくれた『ミスミソウ』、オススメする方も覚悟がいるけどぜひ読んで頂きたい作品です^^

2巻の巻末に描き下ろされた第0話の平穏だった日のお話があまりにも悲しくて( ´Д⊂
3巻はまた別の方向に惨劇が広がっていきそうで怖いです。

>>関連
◇答えと価値観の崩壊したセカイしか、見えない。「ミスミソウ」2巻(記事元:たまごまごごはん様)

◇狂気と崩壊、血に塗れる白い腕 ミスミソウ1~2巻/押切蓮介(記事元:漫画脳様)



こういう感情を魂を込めて描ける漫画家さんといったらやはり自分が神と崇める藤田和日郎先生と村枝賢一先生かなぁ。
「うしおととら」のヒョウとか家族を失って心を打ち砕かれる復讐に走る様とか、「RED」におけるレッドの仲間を失ってるところからくる感情の激化とか。

他にこれは漫画家が魂を削って描いた感情表現といったものが見られる漫画があれば教えてください^^


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この記事のコメント
呪街なんかもおすすめですよー

あ、いつもレビュー楽しく読ませて頂いてます。紹介されたものがどれも面白そうに見えて興味津々。ありがとうございますっ
2008-09-03 Wed 23:54 | URL | たま #aIcUnOeo[ 内容変更]
[]
>たまさん
 いつも見ていただいてありがとうございます\(^O^)/

「呪街」ですね。雑誌ではほとんど読まないので出会っていない素晴らしい漫画がたくさんあるので教えてくださると非常に嬉しいですよー。

今度探してみます^^ノシ
2008-09-04 Thu 13:03 | URL | SIZ #4LNop03k[ 内容変更]
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