
2009-07-06 Mon 14:36
いやぁアニメ版『青い花』のクオリティが素晴らしくて、思わず何度も見ちゃってます。
志村先生の描く繊細で淡い色使いのキャラクターたちが、そのまま動いているのに感動。そして原作でも特に目を引く表情の変化などがこれまた事細やかに再現され、それが演出として光っているんですよねー。 で、今回はこれら演出と、原作との相違点などを挙げて、アニメ版「青い花」の秀逸さを改めてみようと思います\(^O^)/ ■冒頭のシーンの変更 <原作> ![]() ![]() <アニメ> ![]() ![]() 原作ではお話の冒頭、あーちゃんの目覚めから始まりますが、アニメ版はふみちゃんの目覚め(幼いころの夢をみながら)で始まります。 これは原作(1巻)はあーちゃん視点で話が進むのが主なんですが、アニメはどうやらふみちゃん視点で話が進むのではないかと思われます。 何気にあーちゃんの兄(原作4巻目にして「忍」という名前がついたw)のシスコン度が下がっているのは残念。いや、むしろ喜ぶべきか?wでもこの設定があるとまた屈折した愛情があったりして面白いんだけどな~。 そしてここで見逃せないのがふみちゃんの表情。 原作のあーちゃんはセーラー服を見て、入学式当日の嬉しさを寝ぼけながらも感じていますが、ふみちゃんはなぜか憂鬱な様子。これが続くシーンに繋がっています。 ![]() ふみちゃんにとって入学式という日は従姉の千津ちゃんとの別れの日でもあったからです。 そしてこのワンシーンでのやり取りは二人の関係がどうやら普通の従姉同士以上のものを感じさせます。 千津「防虫剤ね。ハンガーにかけておくの忘れちゃった?」 ふみちゃん「夕べ、気づいてかけたんだけど、、。」 千津「ちょっとだから大丈夫よ、、誰も気づかないわ、、。」 この誰も気づかないわという部分にこの二人の関係が見え隠れするのは深読みしすぎでしょうか?w この会話を聞いた時、ドキッっとしたんですよ。以前に制服に袖を通したふみちゃんが千津ちゃんに見せたときにハァハァしたのではないのか?(;´Д`)ハァハァ(←変態 そんな百合妄想をさせてくれるこの会話は原作にないオリジナルな脚本です。初見の人にも何か感じさせるものがあったのでしょうか。 一方、あーちゃんにも変更がありました。 ![]() ![]() 入学式当日。急いで登校しようと階段を駆け下りていくシーン。 あーちゃんの性格を視聴者に一目で理解させてくれますね。ふみちゃんとは違い、明るく活発な子というイメージがすぐにわかります。 ここの作画はアノ田中宏紀さんが担当されたとか。道理でヌルヌル動くわけだw(その後のお母さんからお弁当を受け取るシーンまで) そういう人を使ってまであーちゃんを表現したかったとは、、GJすぎるぜ。 ■中盤・あーちゃんとふみちゃんの再会シーン ![]() アニメでは電車に遅れるあーちゃんがホームで電車待ちをしているふみちゃんにぶつかって初めての出会いとなります。といっても、ふたりが幼馴染であることはもちろん気づくはずもありません。 原作ではこのシーンはまずあーちゃんが定期を落して、それをふみちゃんが拾うというのがファーストコンタクト、そして痴漢っぽい男の人から逃れるときにふみちゃんにぶつかったのが2回目のコンタクト、そして痴漢をされるふみちゃんを助けるといった具合に執拗にふたりの出会いを印象深くしようとしていました。 しかしアニメはここは割りとあっさり1回の出会い、1回の痴漢で(原作はあーちゃんも痴漢される)サラッと流されてしまいます。 これはふみちゃんはまだ千津ちゃんとの別れが頭に残っているようにも思わせますし、あーちゃんはこういう頼もしいキャラなんだということを視聴者に印象つけることになっているように感じさせます。 そしてこれがこの後の二人の再会に繋がるわけですが <原作> ![]() ![]() <アニメ> ![]() ![]() ![]() 原作では少なからずとも電車での出来事を「失態だった」と思っていたふみちゃんが、幼馴染との思わぬ再会を果たしたことにより急激に意識があーちゃんに向かうのが見えましたが、アニメではまだ二人の意識は驚きや懐かしさよりも未知の部分が大きいように感じさせます。 フミちゃんのセリフ「、、、あーちゃん、、?」はアニメオリジナル。 そしてこれが終盤へと繋がっていきます。 ■「ふみちゃんはすぐ泣くんだから。」のセリフの強さ <原作> ![]() <アニメ> ![]() ふみちゃんは結局、何も知らされないまま突然の千津ちゃんの結婚、別れに直面します。 次の日、電車を待つふみちゃんはいろんな想いを巡らせていました。 (ちなみにアニメは「イトコで、女で、、結婚するんだもんね」の結婚の部分が「当たり前だもんね」に変わってました。) そこに現れたのが昨日不思議な縁で再会を果たした幼馴染のあーちゃん。 あーちゃん「ふみちゃんはすぐ泣くんだから。」 冒頭のふみちゃんの夢~中盤の幼い日の二人の回想、そしてこのシーンと2度にわたって使われたセリフの強さがことさら強調されています。 ふみちゃん「その一言は、10年の月日をかるくとびこえた。」 ふみちゃんの意識が一気に千津ちゃんからあーちゃんへ向き、未知の存在から幼き日の想いが甦るのが伝わってくる素晴らしい伏線(演出)だったと思います。 ■表情や手から読み取るキャラクターの意識の秀逸さ 例)井汲京子 ![]() ![]() 原作未見の方にネタバレになるのであえて書きませんが、この井汲京子の登場シーンはちょっと心拍数あがりました( ゚∀゚)=3 この手にした本を置いてスッと指でなぞる動作、そして流し目で見ながら言う 京子「奥平さん、、、奥平あきらさん、、、素敵な名前ね、、。私、井汲京子、、よろしくね。」 なんとエロいこと!(;´Д`)ハァハァ これは原作になかった要素。 初見の方にこの京子っていうキャラクターを印象つけるには最高の見せ方だったと思いますね。 原作読者からしたら彼女の内面が思いっきりわかってしまい、もう百合妄想が止まりませんでしたよっ! 例2)目と手で語るキャラクターの意識 <原作> ![]() <アニメ> ![]() さ、、誘ってるっ!(;´Д`)ハァハァ 二人の関係がイトコ以上であることが伺えるワンシーン。 こういう細かい表情や目線、そしてことあるごとに出てくる繋いだ手から様々なキャラクターの意識や感情が伝わってくる演出が原作と同じくらいに秀逸です。 前に例に挙げた井汲京子の指の動きといい、視聴者(読者)に感じさせる(任せる)百合的な妄想の幅が大きいのもこの「青い花」の魅力でもあります。 ■光の陰影の描写、背景美術が素晴らしい <木漏れ日の描写> ![]() ![]() これは原作では志村先生の絶妙なスクリーントーンワークで再現されていましたが、アニメではそれをこれ以上ない素晴らしい色彩で描写してくれてて嬉しい限り^^ こういった光の加減は原作でもかなり大事に描かれているので、今後も期待です。 また背景に関しても徹底的なロケハンを敢行したと思われる、鎌倉の情緒溢れる町並みをしっかり再現しています。 >>関連 ◇『青い花』放送日に聖地巡礼したスレ住人(記事元:今日もやられやく様) ■まとめ とまぁ、第1話にしてこれだけ語るべきところがあるとは予想外でした。 普通に原作をキレイになぞってくれればいいやー、みたいなとこありましたけど、カサヰ監督申し訳ありませんでしたw (´・ω・`)キミキスのイメージしかなかったの・・ そして原作の持ち味をこれ以上ないくらいに引き出してくれた脚本の高山文彦さんにも感謝! 「百合」作品ではあるけど、「ファンタジー」ではない「リアル」さがこの作品の大きな魅力。「同性愛」という難しいテーマをどうアニメで見せてくれるのか。 今期は『青い花』を当blogはイチオシで行こうと思います\(^O^)/ >>blog内関連 ◇青い花 放送開始イベント(@秋葉原)配られた団扇の裏面がガチすぎる件 このセリフ、どう考えても2期やらないと出てこない件。 ◇「季刊エス 2009年夏号」の百合特集がグレイトでした。 志村先生の「青い花」解説が面白かったです。 >>関連リンク ◇「青い花」第一話がしょっぱなから百合百合しい件。 ◇「青い花」2巻に見る、百合のリアルとファンタジーの狭間(記事元:たまごまごごはん様)
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